そこで、わたしは手に握っているストップウォッチを思い出した。
そういえば、部室には自分のカバンがあるじゃないか……
わたしは改めて、浅倉くんを見た。
「浅倉くん、休憩ってあと何分?」
わたしが訊くと、浅倉くんは意外そうな目をした。
それでも、律儀に答えてくれる。
「えーっと…あと15分くらい?」
「なんだ、結構あるじゃん。じゃ、行こっか。」
わたしは思わぬ時間に自然と頬がゆるんだ。
踵を返そうとしたわたしを、慌てて浅倉くんが呼び止める。
「え、待って!どこ行くの?」
「どこって…部室。」
「……陸上の?」
「そうそう。さ、行こ、」
わたしはまた足を踏み出しかける。
「え、いや、なんで…」
「──バレないように手当てしてあげる、って言ってるの。察しろ。」


