武田の近習衆(きんじょうしゅう)の中には、ミツの警護などを任されている御料人衆と呼ばれる人たちが存在する。 それはいつでもミツを守ってくれる、いわば晴信の化身のような人たちであるとミツは常々感じていた。 そうやって彼女は常に彼によって守られているのだ。 穏やかにそう告げれば、それもそうだなと晴信は満足気に笑みを浮かべる。 そんな晴信ににこりと微笑みかけ、そっとその膝を折るミツ。 「信濃侵攻の件を考えていらっしゃったんですか?」 そして目の前に広がる地図を覗き込んだ。