「どうしたんだ突然。何か問題でもあったか?」




朝早く何の報もなくこの部屋を訪れた彼女に不思議そうな顔を向ける晴信。

そんな彼に向かってミツはいいえと静かに首を振った。




「何かなければ来てはいけませんでしたか?」




そう言って顔を困らせる彼女。

そのどこか芝居がかった表情に晴信が"そんなことはないさ"と笑って手を差し伸べる。


そしてそれに満足そうに彼女が笑うのは二人にとって何一つ変わりない日常的なやり取りだ。




「晴信様が御料人衆なんて大層なものつけてくださってるんですもの。そうそう問題なんて起きたりしませんわ」