「晴信様が幸せな国を作るためなら、武田のためなら何だってすると申し上げたではありませんか」


「ミツ…」


「駆け引きが世の常であったとしても、ミツが貴方様との約束を違えることはありません」




はっきりとそう告げた彼女に迷いはない。

あの時と同じ真っ直ぐな瞳。


彼女はその視線の先に一体何を見ているのだろうと晴信は思った。


そんな彼の感情を悟ったように彼女は笑う。



"ミツの目には豊かな国と武田の旗が見えます"と。




「私は、晴信様が素敵な国を作ってくだされば幸せですよ」