ゆっくりと染み渡るように紡がれた言葉。


それは頭上高く広がる澄み渡る青空のようであり、遠く地平線の彼方に広がる海のようでもあった。


その言葉に晴信の心臓がズクリと震える。そして改めて認識するのだ。


彼女の強さというものを。

そのどこまでも清い美しさを。


そんな晴信の隣で、彼女は着物の袖からそっとあるものを取り出した。

そしてそれを晴信の手のひらに乗せる。




「これは…」




それは、晴信が持っていたのと対の貝殻。


ぴたりと重なる貝は二つとない。

唯一無二の存在。