しかしそんな晴信の動揺も予想していたかのように、彼女は穏やかに微笑んでいた。

そしてそっと二人の手が重なる。




「私たちは運命共同体なのです」


「運命、共同体…?」




聞き慣れぬ言葉に晴信は訝しげに眉を寄せ首を傾げる。


そんな彼にミツはそれはそれは美しい微笑みで答えた。




「はい。私は武田の為に出来うる限りの力を尽くします。ですから貴方様は私たちが安心して暮らせる豊かな国を作ってください」




それはまだ見ぬ先を、見えぬ道を共にするという意味なのだと。

待ち受ける運命を共に切り開くことなのだと。


どこまでも美しく聡明な女は笑った。