二人の間に流れる嫌な空気。 詰め寄っているのは晴信のはずなのに、何故か自分のほうが尋問されているような気分だった。 それはきっと彼女のせい。 彼女はそんな辛辣な瞳に見つめられても大きくその身を揺らしたりはしない。 沈黙が晴信の緊張を増す。 ────────クスクス そんな緊迫した空気を破ったのは小さな笑い声。 二人しかいないこの部屋で響くそれの持ち主はもちろん晴信ではなく彼女で。 突然の笑い声に体を強張らせた晴信。 しかしその力はすぐに抜けた。 理由はとても簡単だ。