しかも相手は左大臣・転法輪公頼(きみより)の次女。 転法輪三条といえば藤原北家の流れを汲む閑流院嫡流の超名門である。 清華七家と呼ばれ太政大臣まで輩出する家柄だ。 いくらこの時代になって公家が生活苦であるといっても、その名の威力はある。 そんな家柄の女が果たして武家のなかでやっていけるのか。 この甲斐国で生活していけるのか。 心無い家臣たちから冷遇を受けたりはしないかと心配事は尽きない。 しかしそんな晴信の不安は、彼女が輿入れしたその日にあっという間に吹き飛ぶことになる。