そう、この栞は― 「ストレスでハゲちゃうんじゃないの?」 俺の裏の顔を、唯一知っている女だ。 「うっせえ黙れ」 「ひどい!私口が滑ってみんなに言っちゃうかも!」 「ふーん、なんて?」 「『朝日奈 凛はイケメン王子なんかじゃないですよ、ドSですよ』って―」 「ばーか」 こいつのよく動く口を、塞ぐ。 もちろん、自分の唇で。