【短編】そんな、ある冬の帰り道。






付き合って、別れて、二度と池田と一緒に帰れなくなるくらいなら。



最初から付き合わないで、ずっと一緒に帰れる方を、あたしは選んだ。



ずっと、あたしの、あたしだけの、忠犬でいてほしかったの。




「うう…」




こんなずるい考え方をしていたから、池田の気持ちを考えてあげられなかったから。



あたしに、泣く権利はないのに。



気持ちに余裕を持てなかった、あたしのせいなのに。