だが、そんな篠山を見かねて隣にいた飯草が口を開いた。 「杏はね、急に下の名前で呼ばれて焦ってるんだよ。」 「そんなことか。」 そう言って返事をしたが本当は嬉しかったんだ。 こいつが少しでも俺を意識してくれてる。 そう感じれたことが。 とりあえず、こいつらには感じられたくないから、俺は顔色を変えずに言った。 「行くぞ。」 そう言って倉庫の中へ篠山の手を引きながら入った。