彼は俯いたまま、あたしにだろうけど、ぼそりと呟いた。


「なぁ、お前、何年?」


聞くと同時に彼が顔を上げて、あたしを真っ直ぐに見据える。


その真剣な瞳に、吸い込まれそうになった。


「あたし…は、成宮心愛。2年B組…デス」


ムードメーカーなのか、ドラムの男子が笑顔をあたしに向けて言ってきた。


「あー、知ってる!確かテニス部の『こっこ』ちゃん、だよね?可愛いから結構男子に人気あんじゃん?」



ええ!? そんな事ないけど!?

社交辞令としてならアリかも知れないけど、あたしが男子に人気あるなんて初めて聞いたよ、恥ずかしい。



「へー。ここあ、ね」


ボーカルの男子はゆらりと立ち上がって、あたしの眼前に顔を寄せた。


アシンメトリーにした、少し長めの蜂蜜色の髪があたしの目の前で揺れる。


切れ長のアーモンドアイ。顔立ちはイケメンだと言っても言い過ぎじゃないと思う。


身長は、160センチのあたしより15センチぐらい高いかも。