そしてイミテーションの星空を横切った一筋の光の矢。


「……あ。流れ星」

「このプラネタリウム、流星群の設定もできるみてーだな。ずっと上見てみ?」

輝に言われて、あたしは流れ星が流れるのを今か今かと待っていた。


やがて天頂からまた一筋の光の矢が解き放たれた。


同時に伝わる、首筋にヒヤリとした感触。


シルバーに光るネックレスがあたしの首元にかけられている。

ネックレスのトップには、煌めく小さな星が2つ。


「……俺からのクリスマスプレゼント」


輝がそっぽを向いて、ぼそっと呟いた。


「……文化祭ん時、心愛が一人だけ俺らの歌聴いてくれて。感想まで態々言いに来てくれて、すげぇ嬉しかった。あん時はノリで付き合うか?って言ったけど」

「……けど、なに?」

「やっぱりちゃんと言いたくなった。心愛の事を知る度に。お前の笑顔を見る度に」

「そんなの……」


言わなくても、伝わってるのに。


だけど。


「……心愛。これからも、ずっと俺の側にいて下さい」


言葉で貰うプレゼントが、こんなに嬉しい事だったなんて。


でもあたしは言葉で返せないよ。


だって涙で揺れて、輝の顔が見えないもん。


だから一生懸命頷いて、輝の言葉に返事をした。


安堵したのか、輝があたしの体に腕を回してキツく抱き締めた。


「そのネックレスの為にバイトした。だから放課後一緒に帰れなかったけど。これからはずっと一緒にいろ」

「命令形なの!?」


泣き笑いのあたしの唇に落とされたキスは、ケーキより蜂蜜より甘い味がした。





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