そして迎えたクリスマスイブ。


夜空からは白い雪がふわりふわりと羽根のように舞い降りてきて、イルミネーションの上に、音もなく静かに降り積もる。


お母さんには「陽んちで女子会やるから泊まらせて」って言って、外泊許可もばっちり貰った。



輝は既に待ち合わせ場所に着いていて、巨大ツリーの前のベンチに長い足を組んで道行く人達を眺めている。


後ろからこっそり近付き、輝の顔を覆う。


「おせーよ」


ぶっきらぼうに呟く輝の声には、含み笑いも混じっている。


あたしだけが知ってる、輝の優しさ。


手袋をしてないあたしの冷たい手を握り、指を絡めて二人並んで歩く。


輝の手には、クリスマスのご馳走が入ったおっきな紙袋がぶらさがっていた。


「……あたしも何か、料理を作ってくればよかったね。……ごめんね?」


気が利かない自分に嫌気が差して、輝を見上げてついぽろりと本音を漏らした。


「……別に。つーかお前の料理って食ったことないから怖い」


そんな他愛もない話をしていたら、輝の家に着いてしまった。



初めて入る、輝の家。



緊張はMAX心臓はあり得ないぐらいにばっくんばっくん仕事してる。