明後日からは冬休みだっていうのに中途半端な時にあたしは風邪引いてしまい、学校を休んだ。


薬のせいで眠くなったから、昼間はずっと寝て過ごしたらしい。


ようやく目を覚ましたのは夕方の6時。


お母さんが作る夕ご飯の匂いにつられて目が覚めた。


枕元に置いた携帯をみると、着信が一件不在通知になっている。けど、留守電は入ってない。




誰だろ、なんてのは愚問で、相手は輝。



慌てて携帯に飛び付き、履歴から輝の携帯に折り返し電話をかけた。


ぷるるるる…という、コール音がもどかしい。



『……心愛?熱、下がった?』


最初にあたしの名前を呼んでくれたことに、まずドキリとさせられた。


それに、あたしの体調を心配してくれたんだと思うと、嬉しくて仕方ない。



『……心愛。まだ熱あんの?』

「計ってないから分かんない。目が覚めて、一番に輝に電話してるから」


気が抜けたような『あほ。早く熱計って薬飲めよ』って言葉で少し涙が出てきた。


愛されてるじゃんあたし。



『病人に言うのも何だけどさ。クリスマスイブ、明明後日じゃん?で、俺ん家、その日は家族が誰もいねーから……。お前、来ねぇ?』

「行くっ」


風邪で声が掠れてるのに、あたしは電話向かって叫ぶ。


本当は寂しかった。手を繋ぎたかった。輝と触れ合いたかった。



電話の向こうの輝が、クスリと笑って『じゃあ頑張って風邪治せよ』って囁いた。



クリスマスイブ。


どうしよう。あたし輝に何もプレゼント用意してない。


それどころか、勝負下着も持ってない。


こんなとこで風邪なんか引いて寝てる場合じゃないじゃん!!