あのクソばばぁ、やりやがった。



「お使いってちょっとそこまでだと思ってたよ」



澪がのん気にそんなことを言った。



「お前のせいだぞ?こんな簡単に引き受けやがって」



今、俺と澪は大きな荷物を持って、ガタンゴトンと電車に揺られている。



「そんなこと言ったってしょーがないじゃん!」



まぁ、確かにあれはしょうがなかった。

あの時は誰が聞いてもこんなことになるなんて思わなかった。

母さんのお使いとは、じいちゃんとばあちゃんちに荷物を届けることだった。

しかもついでに泊まっておいでって…。



「…お前、今日のこと、高岡になんて説明したんだよ?」



俺がそう聞くと澪はきょとんとしながら俺を見て言った。



「普通におばあちゃんちに泊まり行ってくるって」



まぁ、普通そう言うよな。

俺は澪を見て言った。



「俺と一緒に行くこと言ったか?」



そう聞くと首を横に振った。



「言ってないよ!てか一緒に住んでることも言ってないし」



そう言いながら澪は電車の窓から外を見た。

ビルがいっぱいあった景色も、今は田んぼだらけの景色に変わっている。