家についた。
「海ー!」
海というのは私の名前。
「なにー?あき。」
ドアに手をかけたとき、あき(妹)に呼ばれて振り返った。
「どーし…た、の?」
「逆に海がどうしたの?」
だっ、だって…智くんがいるんですもの…
「智くん…?」
「そ!幼稚園くらいのとき遊んでたよね。さっき会って、一緒に帰ってきたの」
ニコニコしながら話すあき。
久しぶりに初恋の人に会って呆然とする私。
無表情な智くん。
見事にバラバラな反応。
「智くんね、海と一緒のバイトなんでしょ?なんで教えてくれなかったの?」
「え!?」
...智くん、いたっけ…?
「いましたっけ…?」
「さっきまで一緒だったのにね。」
そういうと智くんはメガネをかけた。
「...あ!」
「メガネかけないと気付かないんだね」
「橘さん!」
あわわわわ…
海ちゃん、大ピーンチ!!
智くんは初恋ってさっき言っちゃったよ…
「えっと…」
「うーちゃん。」
うーちゃん。
よく遊んでたときにそう呼ばれてた。
なつかしい…
「ほんと変わってないね。どんくさいままだし。」
「もー…意地悪。」
「上がっていってよ。智くん。」
え、えええええ、何を言っているんですか、妹ちゃん。
どこの部屋を使う気ですか?
「海の部屋はきれいだからいこ!」
あ、やっぱり私の部屋なのね…
「いいの?」
「うん、まあ…駄目な理由はないけど。」
「じゃあ、決まり!」
ていうことで、私と智くんと二人で部屋にいます。
え、あきはどこ行ったかって?
「彼氏に智くんといるとこ見られてて怒ってるみたいだから行ってくるね!」だとさ。
なので二人です。

