「余計なことを思い出して知っまったわ。」

小さな声でつぶやいた時、周りがざわついたのが分かった。

何だあいつ。 
あの方が、二階堂家の令嬢だと知らないのか?
恥知らず。

批判的なことば達に、思わず振り向くと
ざわつきが、すっと収まる。

驚く彩月に、差し出されたのは
花がらのハンカチだった。