「…ど、どうしよ、涼馬。」
「なに?」
「…涼馬、間違ってる。」
「だからなにが?」
「…余裕なんて、ない!」
「は?」
顔をトマト色に染めて否定するとポカンとした涼馬。だけどあたしは、張り裂けそうな胸を抑えるだけ。そして泣きそうな顔で言った。
も、限界です。
「…ど、ドキドキしすぎて、苦しい。」
ばくばく煩い心臓。ぎゅうと締め付けられ、圧迫される。先輩に恋い焦がれてたはずなのにいつの間にか“弟”が“男”になっていたことにドキドキした。この愛しさが籠められた眼差しに、動悸が止まらなくなる。
「…栞菜先輩、可愛すぎ。」
夕陽に染まった彼。あたしも茜に色付けば、伸びたふたつの影がひとつに重なり、焼き付いた。
第二の恋が始まる予感です。
【完】

