元バスケ部主将の先輩と交際し始めてはや一年。周りからは『仲良いね!』と持て囃されてるけど、実際はそうじゃない。
確かに“仲は良い”けど交際関係は良好ではなかった。先輩はあたしのことを大事にしてくれるし、何かしら不満があるわけじゃない。
なら何故“良好”じゃないのか。
――それは気付いちゃったから。
先輩はもう、あたしを見ていないと言うことに。
先輩が見るのは同じクラスにいる綿飴みたいな子。あたしなんかよりずっと可愛くてふわふわした女の子だった。彼女を見る先輩の目には“愛しさ”そして又、彼女が先輩を見る目にも“愛しさ”が籠められている。
あきらかにただの同級生ではない雰囲気を醸し出す先輩と綿飴さん。
そして気付いた。気付きたくは無かったけど、気付かなきゃいけなかった。思い合う二人が幸せになるためには、もっと早く、気付くべきだったんだ。
邪魔なのは、あたしだと言うことに。