私が指差した教室の先を指差して、そして…… 「早川?」 大声も出さず、 そんなに大きい反応はしていないけれど、それでも私を見る大きな二重の目はさらに見開かれている。 明らかに驚いた表情だ。 理香から教室の方をまた見れば、黒板の前で教科書片手に読んでいる陽太が見える。 やっぱり。知ってた。 「私でも分かったんだもん。理香の方が知ってるでしょ?」 教師とか、人の名前とかあまり興味がないというか、覚える気がないのだけど。