甘くて可愛い彼のヤキモチ 【短編.完】

『相馬くん、今日はありがとう』


その日、相馬くんはシュートが入るようになるまで練習に付き合ってくれた。

ううん。正確に言えばその日から毎日自主練に付き合ってくれた。


何種類ものシュート。

ドリブル。

ディフェンス。


相馬くんは自分が持つ技術を惜しみもなく私に教えてくれて、私はその指導のお陰で上手だとまではいかなくても人並みにまで進歩した。


『なんで私に教えてくれるの?』


ある自主練の時、疑問に思ってそう問い掛けた事がある。


相馬くんは私の質問に少しだけ微笑んで。


『バスケが好きって伝わってくるから』


そう言ってくれた。


バスケが本当に好きで。

だけど下手だから前には出て行けなくて。

いつもいつも歯痒い思いをしていた。


相馬くんはそんな私を見て気付いてくれた。


バスケへの思いを。

バスケへの大好きな思いを、相馬くんは気付いてくれた。


『……ありがとう』


私が相馬くんを好きになったのは、きっと必然。