甘くて可愛い彼のヤキモチ 【短編.完】

『もっと肩の力抜くんだよ』

『……へ?』


全然シュートが決まらなくて心が折れそうになった時、後方から聞こえてきた男の人の声。


訝しげにゆっくりと振り返れば、

『そ、相馬くん!?』

なんと視線の先にいたのは男子バスケ部のキャプテン、相馬くんだった。


『なんで……』


此処に相馬くんがいるんだろう?

さっき、体育館を出ていった筈なのに。


『腕』

『……え?』


体育館の扉に寄り掛かっていた相馬くんが身体を起こして此方に歩いてくる。


『腕の位置は此処』

『え?え?』


な、何!?腕!?

一体何がどうなって……

ボールを持ち替えられ、腕を無理矢理持ち上げられた私は軽いパニックに陥った。

それもその筈。

だって相手は学校一モテモテの男の子。

私も密かに憧れていた相馬 新くんだったのだから。