あたしが男装を辞めてから、2ヶ月がたった。



時間がたつというのは早いもので、
あたしたちは高校二年生になった。


最初の頃は何で男装をしていたのか、クラスメイトのほとんどに聞かれたけれど、

クラスメイトもこんなことがあるのは二度目だからか、

すぐに興奮は治まった。


そして何故かあたしには。





「好きです!付き合ってくださいっ…」




モテ期が到来していた。



屋上に呼び出されて、何かと思ったらまたこれか……

あたしの目の前には、顔をこれでもかというほど真っ赤にした男の子。


名前は……たしか、田辺くん……だったっけ?


よく覚えてないけど、あたしの今の隣の席の男の子。


あんまり話したことなかったんだけど、急に呼び出したと思ったら告白だった。


「……なんであたしを好きになってくれたのか分からないけど、ゴメン。あたし、他に好きな人がいるの」

「そう……ですか。ちゃんとフッてくれて、ありがとう」


少し目に涙を浮かばせて、田辺くんは言った。


「じ、じゃあ、俺は先に戻ってるね!急に呼び出したりなんかして、ゴメン。気持ちだけでも伝えられてよかったよ」

そう言って、田辺くんは屋上を後にした。


「……はあ」


田辺くんが去った後、あたしはフェンスに寄りかかり、ため息をついた。

……あたしなんかのどこがいいんだか。


もっと他に可愛い子がいるだろうに。


そんなことを思いながら、屋上から蓮のクラスを見た。


高2になって変わったこと。


それは、あたしにモテ期が来たことと、蓮とクラスが離れてしまったこと。


あたしが一組なのに対して、蓮のクラスは六組。

両方とも端と端だから、前みたいにたくさん蓮と会うこともない。