そう、知ってるの。

蓮が本当はとても優しい人だってこと。
だけど、認めたくなかった。

だって、認めてしまったら、



ーーー蓮が好きだってことが本当になってしまうから。



「……!」


…そうか。


頭を撫でてくれている蓮を見て、やっと答えが出た。


あたしはーー蓮のことが好きなんだ。


どうして気づかなかったんだろう。
こんなにも、好きになっていたのに。

蓮のことを考えるだけで、こんなに胸が高鳴るのに。


「……そっか」

「ん?なんかわかったのか?」

「うん」

あたし、認めるのが恐かったんだ。

初めてもつ感情に、怯えていただけなんだ。


「蓮」

「なんだ?」

優しく笑って聞き返してくる蓮。


それさえも、愛しい。


「あたし……蓮のおかげでやっと気付けたよ」

「……よかったな」

「ありがとう」


あたしは今まで一番最高の笑顔でお礼を言った。


本当は、これだけじゃ足りないくらいなんだけど。

今のあたしはこれくらいしかできないから。




ありがと、蓮。