「柴崎くん?」
私の前には、柴崎くんが立っていた。
「試合は?途中でしょ。」
「試合なんかどうでもいい。行くぞ」
普段あまり喋らない柴崎くんは私に手を差し伸べた。
「保健室?」
私がそう問うと、柴崎くんはこくりと頷く。
「頭打っちゃった所見てたんだ。やっぱ冷やさないといけないよね。」
私は柴崎くんの手を借り、立ちながら言った。
頭に当たっちゃう所を見られるなんて、恥ずかしいな。
「じゃあ、保健室行ってくるね。ありがと。」
私は1人で体育館を出ようとした。
でも、柴崎くんが手を離してくれなくて、出られない。


