【企画短編】笑ってよ、柴崎くん!


私はカーッと体を火照らす緊張を抑えることに専念した。

保健室に連れていくという任務があるのに、ドキドキしてる暇はない。


それでも、柴崎くんのかっこいい顔が私のすぐ近くに来ていれば、緊張せずにはいられなかった。


「有村。」

「喋っちゃ、、駄目だって。」

「俺は喋ると少し楽になるの。」


授業中の廊下。

誰も通らないけど、誰かに見られたら最高に恥ずかしい。

私の心臓は柴崎くんのドキドキや、見られる危険性や色んな物が混ざって跳ねるように脈打っていた。


「クラクラ、大丈夫なの?」

「大丈夫。」


貧血で弱った柴崎くんの吐息混ざりの声もかっこいい。

柴崎くんが大丈夫でも、私が大丈夫じゃない。