「やめてええええ!!!!」
降る雪が、赤に変わる。
雪の曇り空に舞ったのは、真紅の花と小さな体。
下品な笑みを見せた男に斬り飛ばされた幼子は、流れの速い川へと落ちた。
ばしゃんっ、という音とともに妹の姿は見えなくなった。
真っ赤になった小さな手で雪を強く握って固くした。
手を赤く染めたのは、寒さか―――あるいは。
「か……ぇし……て」
返して返して返して。
壊された三味線、壊された家族。
「……し……て」
声はかすれ、視界は雪と涙で悪くなった。
絶望の中、桔梗はゆっくりと意識を手放した。
……
「………」
重いまぶたをあけると、明るい光に目をくらませた。
茶色い天井が見えていたが、影がおちた。心配そうに見つめる若い男の人は、桔梗が目を覚ましたと気づくやいなや、表情を明るくする。
