201x年。

とある学校にて。



「今日は…転校生を紹介します」

教室中がざわついたのが廊下からでもわかる。

「…入っていいですよ」

先生のその声に俺は短く返事して、教室に入った。

「…佐々木颯です。よろしくお願いします」

俺がペコリと頭を下げると、拍手がおこった。

でもその拍手が想像以上に小さくて、俺は不思議に思いながら顔を上げた。

…拍手自体は、この場にいる皆がやってくれていた。