「何よー」

怒った素振りを見せる梨奈に、俺はフワッと微笑んだ。

「…梨奈らしいなって」

「…いやいや…何気にバカにされたよね、私!?」

「してない、してない」

梨奈が軽く地団駄を踏みながら家の鍵を開けるのを、俺は見ていた。

「あ、梨真もいるけどいいよね?」

「うん」

突然振り返った梨奈に陸斗はコクコクと頷いていたが、俺には聞き覚えのない名前だった。