そう声をかけたのにも関わらず、颯は特に反応も見せずに立ち尽くしている。

「…颯」

私が名前を呼ぶと、颯はようやく反応を見せた。

「…梨真…?」

「…そうだよ」

…因みに、嘘だ。

私は、梨真のフリをしている梨奈だ。

…そっくりな私達。

…入れ替わっても、気付かれないぐらい…。

「梨真…っ」

…これまでの颯なら、絶対に見破ってくれたのだろうけど…
…今の颯には無理なようだ。

そして颯は、泣きながら私を抱きしめてきた。