――― 私は足音をたてないように、気を付けて歩いていた。 まあ、目の前の人物はイヤホンをしてるから意味は無いだろうけど…。 …私は目の前の人物、颯の後を追いかけていた。 …全ては、確かめるため。 …もし颯が、私と梨真を見分けられなくなっていたとしたら… もう颯は要らない。 …でも… 前みたいに颯が、私達をちゃんと見分けてくれたとしたら…。 肩を叩くと、颯は何故かビクついたように振り返ってきた。 「…久しぶりだね」