「…離してよッ」

梨奈は嫌がるように足を動かす。

…まだダメだ…。

まだ言いたい事を言えていない…。

「…これからでも…遅くないよ…?梨奈だけでも…大丈夫だよね…」

口から微かに声が漏れる。

それと同時に、梨奈の目が大きく開かれる。

梨奈と目が合い、私は必死に笑顔を作った。

…ねえ、笑って?

お別れが笑顔じゃないなんて、私は嫌だよ…?

私は口角を上げたまま、ゆっくりと目を閉じた。