…私は壁に凭れ掛かりながら、梨真と颯の会話を聞いていた。

声しか聞いてないから、部屋の中がどうなってるかは分からない。

…でも、何となくはイメージできるかな。

足がガタガタと震えた。

こんなに屈辱を感じたのも久し振りだった。

…そう。

…それは、お母さんとお父さんに捨てられて以来…。

私は気が付けば、震える手でケータイのアドレス帳からある人の電話番号を探していた。