「えっ」

意外なお願いだったのか、美希は目を見開いた。

颯が喧嘩強いのは、前から知っている。

美希自身がヤンキーばかりのグループに所属している事も知っている私は、それを利用したのだ。

「…でも…」

「…アンタは何も言わずに、ただ頷けば良いの」

「…梨奈ちゃん…」

「あんたを助けたのは誰だと思ってるわけ?」

私がそう言った瞬間、美希の顔がサッと青ざめた。

…相変わらず、簡単なヤツだ。