「…優しいのも梨真。賢いのも梨真。愛嬌の良いのも梨真。…唯一、私が誉められるのは…梨真とよく似た可愛いって位だったじゃない。…お母さん達だって…私より梨真が…」

「や、止めてよ…ッ」

私は気が付いたら叫んでいた。

「…止めてほしいのはコッチなんだから…。分かってるよね?…お姉ちゃん?」

背中を通った嫌な寒気。

梨奈の片方の口角を上げた笑い方が、頭から離れない。

スタスタと離れていく梨奈の背中を、私は呆然と見つめることしか出来なかった。