「…座ってて?」

俺の後で俯いている梨奈に、俺は出来るだけ優しく言った。

小さく頷いた梨奈はチョコチョコと歩いていき、ベンチに座った。

俺は鞄から財布を取り出し、公園の隣にある自動販売機へと急いだ。

そしてコーヒーを買うと、梨奈の座るベンチに戻った。

「…はい」

「……ありがと」

俺がコーヒーを手渡すと、梨奈は少しだけ微笑んだ。

梨奈はコーヒーの入った缶を両手で転がしながら、小さく溜め息をついた。