誰も喋らないのだ。

これまでの討論会でも、沈黙が続いた事はあったけど…
それは、互いに話すタイミングを探っているようだった。

…しかし今回は、誰も喋る気配を見せない。

市民会議メンバーも美希の時とは違い、大して作戦をたてていたりしていないので…
喋るにも喋れないようだ。

委員長もつまらなそうに椅子に腰掛けていた。

「時間です。多数決を開始しましょう」

静かに立ち上がった委員長は教卓の前に移動した。