市川は呼吸を整えると、再び口を開いた。

「…何よ…。何も知らないくせに…!颯の件だって…ホントは美希、」

そこまで言った市川は突然、言うのを止めた。

市川の顔色が真っ青になる。

いったい何があったのか、分からなかったし…
それ以上に場の空気が、何があったのかを聞けない状態になっていた。

この場にいる、ほぼ全員が怯えたように身を縮ませていた。

「何でも………ない」