瞬間――ずずん、と大きく地面と空気が歪(ひず)んだような衝撃が走る。

「きゃっ…?!」

「地震!?」

それを皮切りに、令嬢たちが一挙に動揺し始める。

「陸様、わたくし怖いですわ!」

「わ、わたくしも…っ」

「大丈夫…そんなに大した揺れじゃないですよ、落ち着いて」

だがこれは、単なる地震か?

揺れが起きる直前に、ほんの少しだけ空気が重くなった気がする。

それに、大陸に国を構える春雷では滅多に地震は起きない。

「――失礼します、陸様」

すると周の部下の一人が、足早に部屋へ駆け込んできた。

彼は父の配下の中でも子供好きで、よく仕事の合間に幼い自分の遊び相手をしてくれていた、陸にとっても馴染みの深い青年だ。

「うん。今のは…」

男は傍らに膝を着くと、小さく耳打ちした。

「街の方角に突如、高濃度の魔力反応が発生しました。発生源は、才臥様や天地様らのおられる病院の敷地内です」

「!!」