「何でぇ、無一文かよぉ」

シカゴタイプライターを肩に担いで膨れっ面になるユヤ。

「弾丸(たま)代も馬鹿にならないんだぜぇ」

「…少し気になったんだが」

ジャックはユヤの顔を見る。

「お前は…」

「お前じゃない、ユヤ・コーレック」

「ユヤは、人を撃った事があるのか?」

「あるよ」

即答するユヤ。

「ギャングの間にも縄張り争いがあるからな。東の果て(イーストエンド)地区と白い礼拝堂(ホワイトチャペル)地区のギャングは仲が悪くてさ、イーストエンドの奴らが俺らの縄張りにチョッカイ出してくるから、その時に」