すると彼女は、よく分かんないんだよね…
と小さく呟いてからこう言った。
「行ってみれば、分かるよね!」
…なんて能天気な人なんだ。
下調べなんて言葉も
恐らく知らない彼女のことだから、
期待はしていなかった。
それでも、今から行くのは仮にも"異世界"
なんだから危ない場所だったらどうするんだ。
これは…呆れるしかないな、うん。
「…あ、今呆れるって思ったでしょ?」
「えっ!…そ、そんなこと思ってないよ~」
「ふふふww。全く、---は分かりやすいんだから♪」
「そんなこと…ないけど…」
実花が鋭いんだよ、とは
笑っているはずの実花の目が笑ってなくて
心情を読み取られそうだったから、
不気味で言えなかった。
「じゃ、行こっか!」
うん、と私は小さく言った。
あんなことが起きるとは知らずに。

