「君を、鳥かごの中に囲いたい!」
それは、初恋。
それが、人に恋した化け物の愛。
傲慢でしかなく、されども掴まえる手は他に何を表現しよう。
「そばにいさせたいのだ!」
逃げ場所を奪ってまでも、鍵つきの檻に閉じ込めてしまいたい。
「そんな……こと」
頷ける訳がないじゃないか。
手を振り払う。驚いたことに男の手はすんなりと離れた。
肩すかしとなり、呆けてしまう。『彼女』にとって初めてだ、男に掴まれたら最後、腕に青あざが残るほど離してはくれないのに。
傲慢の中に見える優しさ、けれども、男の気持ちは変わらない。
名も知らぬ気持ちに突き動かされる。
小鳥が逃げてしまうと、男はーー
「傷つける気など毛頭ない。しかしながら、僕は僕を捨ててまで、君を連れて帰りたい。高貴とはかけ離れた存在となろうとも、君を」
男の手が『彼女』の目元を覆い隠す。
途端に来た目眩に『彼女』の体は男にもたれかかる。
包まれた体。温もりなどない男の体なのに。
「見続けて、いたい」
ひどく安心してしまうんだ。


