その様子で、顔が露になっているのを『彼女』は自覚した。慌ててフードに手をかけようとするも、手首を掴まれる。 「もっとよく見せてくれ……!」 切迫した様子は、男に不釣り合い。だが、心(平静)を乱さずどうしろと言うのか。 『彼女』は知っている、視たことがある。自身を見つめる男の瞳を。 「っ……」 求愛をしてきた男たち。化け物さえも拐かす顔に涙を滴らせる直前。 「顔だけでなく全てだ。五官を余すことなく使い、君を知りたい。頭から足先まで、僕は……」 はた、と男が静止する。