血よりも愛すべき最愛



「同じかっ、ぼく、わたっ、私とっ」


「人の皮を被る悪魔(匹夫)と同じにしないでおくれよ。もっとも、『人殺し』であるのは僕も変わらないがね」


杖を浮かせ、教鞭を取るかのよう支柱で左手を軽く叩く侵入者。


「さて、今宵は満月。餌もあるこの庭で、狼は不要。吠えたならば早々に立ち去るか、もしくは――」


「ほざけええぇ!」


背骨から鋭利な鎌が生える。肋骨と見紛うそれらを持って、悪魔は飛び付くが。


「ああ、お聞かせ願いたい」


焼き回し。されども先と違うのは、侵入者の手に刃が握られていること。


「向こう側に救いがあるのか、見てきてほしい。貴殿がまたこちらに来るまで待っていよう、僕は長生きだからね」