「邪魔を……ぎぃっ」
「おや。神父(お気に入り)の皮が駄目になるが?その皮で、遊び道具を何人も招き寄せられただろうに」
神父の唇が裂ける。――破れたの方が正しいか。三日月から半月となった口の中から、怨嗟が響く。
「何なんだ、貴様はああぁ!」
轟雷に匹敵する怒声の元が、口の中から“顔”を出す。
例えるならば、“背骨”。神父の口からずるずると、細長い物が外界に身を晒す。
ひきつった悲鳴を上げた『彼女』に、嘲笑う侵入者。
「さすがは悪魔。期待を裏切らない醜さだ。皮袋を被りたくなるのも頷ける」
「邪魔を、邪魔を、ああ、ぎぃ、邪魔をおぉ!」
背骨の先、人間で言うところの首には黒いもやがかかり、その中を赤い目が浮遊する。


