招いても来ないならば、導き手は強引にでも連れていく。 「何よりも絶望に伏した万人が思(願)うことであろう」 月明かりが雲に隠れ、教会内が暗夜に呑まれる。 だと言うのに。 「目が……」 鈍く赤くぎらつく神父の瞳。雲が流れ、再び月明かりが照らしき時、神父の目が不自然な形であるのを知る。 人と対面する時に必ず俯き、相手の顔を見ないから気付かなかった。 真ん中にあるべき虹彩が重力の影響を受けている。視神経が緩んでいるようだった。まるでゴミ置き場の人形のよう、気味悪さが際立ち。