真夜中のロンドンほど、妖しげな夜は無し。 神秘的な魔物の住処とも思えよう、ひっそりと、されど重圧感ある帳は“何があっても不思議ではない”と思わせる。 「や、こんなところで……!」 正にドレスに身を包みし、婦人がそれであった。 帳の中に身を投じたのは、ほんの出来心だったのだ。退屈な毎日に刺激が欲しいという。 「だ、だめよ……、まだ出会ったばか……っ」 結果がこれ。 婦人は紳士に出会った。 フロックコートを身に纏い、左目にモノクル、そうして銀時計を手首に巻いた男。