でも。

「……」

振り向いて、ふとお嬢の顔を見ながら、昨日宗方が言ってた事を思い出す。

気に入らない相手には二度と口をきかないというお嬢。

という事は、裏を返せば、やっぱりコイツ、俺の事気に入ってるって事だよな…。

「な、何よ…」

急にマジマジと見られて照れたのか、お嬢がほんのり顔を赤くする。

「……」

俺はしばらく考えて、お嬢に呟く。

「お前って、デレてる時は意外と可愛いよな」

「な゛っ…!」

…おー、すごい。一気に赤くなった。

「な、ナンマイキね!!Mのくせにっ!!!!」










照れ隠しに放たれたお嬢の平手打ち。

今日も俺がタップして、宗方が高らかにお嬢の勝利を宣言したのは、言うまでもない。