「また悪いこと考えてますね」


「…い~や」


「顔が悪いです」


頬を挟まれたのをいいことにそのままちゅっと口づけて手が離れた隙に桜李の部屋まで走る



「あ、ちょっと――」



一人残された十六夜は旦那の子供っぽさに溜め息を吐く。からかったりするなと言ったが天堂がしない訳が無い、邪魔するなら言わなければ良かったと今更後悔した



でもあんな子供っぽいところまで好きで愛しいなんて大概だと呆れる



"いつでもそなたを見ている"



刹那の最期の言葉が脳裏に浮かぶ。墓参りに行った時、天堂の愚痴に花を咲かせようと決めた。冬なのに、さぁ、と温かい風が十六夜を包み込む







"私もあなたをいつまでも想っています"












「おい桜李っ、お前もやるな!」


「天堂様!?」


「来るんじゃねぇ!!」





そんなことを思いながら遠くからさっそく聞こえてきた喧嘩に笑みを溢した